半村良『戦国自衛隊』(角川文庫)
半村良『戦国自衛隊』を読んだ。
最近、本作再映画化の噂を聞いて昔テレビで見た映画版“戦国自衛隊”の無邪気な興奮を思い出した。原作も随分前に読んだはずなのに映画の記憶とチャンポンになっていてよく思い出せない。というわけで、角川文庫から出ていた新装版を購入した。
凄い。無茶苦茶面白い。
プロットの面白さでいうなら映画版の比じゃない。そもそも映画版はノリでアドレナリン出しまくるのが身上のお馬鹿作品。若き千葉真一率いるJACが近代兵器をもって戦国の世で暴れまわり、全く無意味なアクションを繰り広げるという泣く子も引き攣る痛快青春アクションなのだ。要するにプロットらしいプロットなんて初めからないに等しい。
ネタバレになるのでここには書かないけれど、ラストで明かされるSF的オチは映画では完全に無視されていた。こんなによくできた話なのに今思うと本当にもったいない。いわゆるSFにも歴史モノにも興味のない人でも十分に楽しめ、納得できるだけの明快さを持っている。
マニア向けの閉塞したSFではない誰もが楽しめる傑作だ。
ところで、この夏公開の映画版、タイトルが“戦国自衛隊1549”となっている。さらに、よくよく見てみると原作は福井晴敏。話題作“ローレライ”の原作の人だ。
なんと、リメイクではないらしい。
posted in 05.02.23 Wed
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