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      <title>ボクノタメニ泣イテクレ &gt; 書評</title>
      <link>http://books.lylyco.com/</link>
      <description>書評かブックレビューか感想文かは不明ですが、本を読んだらとにかく書きます。</description>
      <language>ja</language>
      <copyright>Copyright 2017</copyright>
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         <title>“世代の枠を超える非コミュのバイブル”中島義道『孤独について』（文春文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4167753189?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4167753189"><img alt="中島義道『孤独について 生きることが困難な人々へ』（文春文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books081208.jpg" width="120" height="175" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4167753189" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><strong>欺瞞を捨て自己の内に沈潜する<br />選択的非コミュの自画像</strong>

中島義道<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4167753189?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4167753189">『孤独について 生きることが困難な人々へ』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4167753189" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />は徹底した自分語りの書だ。語られるのは、どこまでも孤独な自分史である。読み始めてみると、まるで他人の粗を論い非難しているかのような口調に少し戸惑いを覚えるかもしれない。確かに、一見、世を拗ね、孤独を他人のせいにするかのような批判的描写が随所に見られる。著者のナイーブな精神を勘定に入れるにしても、それは自業自得ではないか、といいたくなるようなエピソードも散見される。そこで、ただ突っ込みを入れて思考停止してはいけない。その違和感こそが選択的孤独を理解する第一歩である。

封建的でエリート意識の強い両親の家系、夢追い人の父、その父に死ぬまで恨み言を吐き続ける母、無理解な教師たち、無邪気で無神経な級友たち、退屈な哲学の講義、助手の自分を執拗にいじめる大学教授…。とにかくその描写の辛辣さには遠慮がない。けれども、その舌鋒は、実は単に他人にだけ向けられたものではない。多くを学び、多くを思考することで、自らを含む人間の複雑さ、醜さ、虚栄心、ろくでもなさを著者は思い知る。虚栄心に満ち、自己顕示欲が強く、自己中心的で傲慢で惰弱な人間を描くとき、その中に自分が含まれることを十分に承知している。

そうした醜さをまるでないもののように振舞う「大人」たちに対して、著者はそれに気付かぬ振りをして社会的に振舞うことができない。汚く矮小なのはみんな同じだ。ただ、自分はその汚さを敏感に感じ取り、直視し続けるより他に生きる術を知らない。そういうものとして自分を規定する。そうである以上、表面を取り繕って社会人然として虚飾を生きることはできない。虚飾を捨てるということは、社会的であることを諦めるということだ。つまり、孤独を選択するということである。ならば積極的に選択すべきではないのか。それが自分を生かすことではないのか。

この本は、自分が真性の選択的非コミュたり得るかどうかの試金石といえる。]]></description>
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         <category>学問（国内）</category>
         <pubDate>Mon, 08 Dec 2008 01:12:06 +0900</pubDate>
      </item>
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         <title>“超「実用」ワナビー養成ギプス” 勝間和代『読書進化論』（小学館101新書）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4098250012?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4098250012"><img alt="books081018.jpg" src="http://books.lylyco.com/img/books081018.jpg" width="120" height="188" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4098250012" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><strong>たった一冊の本で、<br />読者×著者×販売者の利益を最大化する。</strong>

勝間和代<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4098250012?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4098250012">『読書進化論』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4098250012" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />はそれ自体がとても戦略的な本だ。本から利益を引き出す方法を説きながら、この本自体がそれを実践するという、みごとな二重構造になっている。著者の言葉を借りるなら「ポジティブ・フィードバック・ループ」を意識的に起こす仕掛けである。内容は基本的に著者自身の実績がベースになっている。つまり、著者がどのように読書し、読者から著者になり、どれほどの成果をあげてきたかが具体的に語られる。これは本に説得力を持たせると同時に、成功者としての著者を強くアピールする。著者が読者の憧れとなり、目標となるのである。

「勝間和代から学びたい」、或いは「勝間和代みたいに成功したい」。それが本書を有効利用しようとする読者にとって、最も大きな動機のひとつとなる。勝間ワナビーになることから始まるのである。これは決して悪いことではない。こうした自己啓発系の本を活用するには、まず素直に耳を傾けること、そして少しずつでも行動に移すことが肝心だ。その点、売れる本を出し続けている著者に抜かりはない。そこには、参考にすべき本の書名や著者名、有用な本の選び方、効果的な本の読み方など、すぐにでも行動に移せる、極めて具体的な指針が示されている。

これはとても効果的な著者自身とその著作のプロモーションであるともいえる。勝間本をあまり読んだことのない読者であれば、既刊の著作や、著者推薦の本に手を延ばすことが、行動の第一歩になるだろう。行動する気になったということは、勝間本が性に合ったということでもある。既刊本を読むことはきっとプラスになる。つまり、読者にとっても著者にとっても本書がプラスに働いたことになる。また、推薦本が売れることは、読者自身の成長と共に、著者の属するマーケットの活性化や、著者の活躍するフィールドの拡大にひと役買うことにもなるだろう。

そして、本書は読書論を超える。インプットからアウトプットへ、読者から著者への進化が語られる。むしろ、ここからが著者の本領といってもいい。インプットはいくらあってもそれだけでは成果を生まない。インプットをいかにアウトプットに繋げ、いかに成果をあげるかが本当の読書の効用である。だから、決して「著者になる」ことが目標として語られるわけではない。それすらも、さらなる「ポジティブ・フィードバック・ループ」を起すための手段なのである。いきなり本は出せなくてもブログなら誰でも始められる。書き方の要点もちゃんと書いてある。

とはいえ、いきなりブログを書けだとか、著者になれだとかいわれても、まだ少し難しいかもしれない。が、ここにも最初の一歩は、ちゃんと用意されている。このエントリーでも参加している<a href="http://www.shogakukan.co.jp/katsuma/">「勝間和代と読書の未来を語ろう」というキャンペーン</a>である。これもまた、読者、著者、販売者三者の利益を最大化するための仕掛けのひとつである。読者はアウトプットの題材と場を、著者と販売者は読者からのフィードバックとコンテンツを手に入れることができる。多くの読者がこれに参加することはインターネット上に本書への接点を増やすことにも繋がるだろう。

読書の効用を説きながら実践もし、マーケティングまでする。ここから学べることは多い。]]></description>
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         <category>ビジネス（国内）</category>
         <pubDate>Sat, 18 Oct 2008 03:09:20 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>伊藤桂一『兵隊たちの陸軍史』（新潮文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101486123?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4101486123"><img alt="伊藤桂一『兵隊たちの陸軍史』（新潮文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books081016.jpg" width="120" height="169" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4101486123" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />主観と客観の狭間に立つ著者の視点は、一見奇妙な均衡の上に成り立っている。

本書<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101486123?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4101486123">『兵隊たちの陸軍史』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4101486123" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />は、文字通り兵士にとっての戦争の記録である。そこには、政治的、或いは、国際的、歴史的視点などからは窺い知れない、戦いに赴く者にのみ感得し得る戦争の景色がある。戦争を実感として語り得る世代の作家として、資料にあたり、同胞の声を聞き、一冊の本に纏めた著者の声に、ぼくたちはただ虚心に耳を傾けるよりない。こんな風に書くと、ある種の偏向の臭いを嗅ぎ取って拒絶反応を示す人があるかもしれない。だとすれば、それんなものは杞憂だ。著者の具体を語る筆致は淡々として虚飾がない。悪くいえば無味乾燥ですらある。

戦争にはさまざまなレイヤーがある。もっとも具体的な戦争を戦ったのはいうまでもなく戦場に赴いた兵士たちだ。レイヤーが上層に向かうほど戦争は抽象化する。そして、抽象の頂にあったのが天皇という言葉である。常に具体を目前にせざるを得ない兵士たちは、形而上の戦争を弄んでなどいられない。その意味で彼らは極めて冷静な目で戦争を見ていたのかもしれない。だからこそ彼らの多くは、何か高邁な信念や信仰のために無謀な死を死んだり、勇敢な闘いを闘ったりできたわけではない。ただ、確かな生と確かな死の実感ばかりがあったのだと察せられる。

当然のことかもしれないけれど、そうした極限状態にあることを除けばそこに立ち現れる人間社会は、ぼくたちの生きるそれとさして違わない。そこに生じるあらゆる人間関係は、戦争によって多少デフォルメされてはいても、決して想像を絶するものではない。平時であるか戦時であるかは末端を生きる一個人にはただ環境の差でしかないのだと思える。故に、本書は戦争そのものの是非を語る視点を持たない。それは、サラリーマンの世界を描くときに資本主義的な自由競争社会の是非を問わないのと同じことだろう。個人に帰する限り、環境に絶対悪などない。

そして兵士の視点に触れることは、現代社会を見るように戦争を見ることでもある。]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/10/post_171.html</link>
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         <category>ノンフィクション（国内）</category>
         <pubDate>Thu, 16 Oct 2008 00:48:56 +0900</pubDate>
      </item>
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         <title>絲山秋子『ニート』（角川文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4043881029?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4043881029"><img alt="絲山秋子『ニート』（角川文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books080829.jpg" width="120" height="170" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4043881029" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />絲山秋子<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4043881029?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4043881029">『ニート』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4043881029" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

タイトルだけを見て判断してはいけない本だと思う。この著者は決して類型を描いているわけではない。テレビで特集されるようなニートなんて出てこない。そういう疑念は捨てていい。ただ、世間的にはニートと呼ばれるのかもしれない、そういうどうしようもなく行き詰った生き方の男が出てくるだけだ。彼はまったく典型的なニートではない。その意味で、この作品に通り一遍のリアリティは希薄だ。こんな男の存在は簡単には想像も共感もできない。それを受け入れる女も然り。が、それを共感させる。この共感は性別を超える。いや、性別に限らずあらゆるカテゴライズを拒否している。

表題作の「ニート」とその後日談である「2＋1」で描かれるふたりの関係性は、友人だとも恋人だともいい難い。ともすれば拾ってきた猫でも飼っているように見える。自立させたいのか、ペットにしたいのか、それすらも曖昧模糊としている。ドライなようでいて、実にウェットだ。だから、終わりのない物語の終わりが何も生まないのも当然である。「ベル・エポック」で描かれる友情もまた、そのありようは複雑だ。物理的な関係の断絶を予感させながら、内面的な繋がりは永遠に担保されている。そんなことを思わせる。「へたれ」は引用されている詩の印象が強すぎてなんともいえない。

おそらく最後の「愛なんかいらねー」は、収録作の中でも比較的衝撃度が強い。ただ、それは表面上扱われる性愛表現の故で、おそらく内容としてはかなり「ニート」に近い。アナザーサイドとでもいいたくなるような関係性が描かれている。そして、これもまたディテールによって共感が呼びさまされる。もちろん、スカトロもありかな、というような種類の共感ではない。彼女が彼を受容する、その心のありように共感するのである。そして、共感することがカタルシスに繋がらないのも、また、「ニート」に共通する感覚だと思う。ただ、やっぱりこんな男の存在は想像も共感も難しい。

いずれ、日常を切り取るようにして心のありようを切り取る、そういう作品なんだと思う。


【収録作品】
・「ニート」
・「ベル・エポック」
・「2＋1」
・「へたれ」
・「愛なんかいらねー」]]></description>
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         <category>文芸（国内）</category>
         <pubDate>Fri, 29 Aug 2008 18:04:53 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>劇団ひとり『陰日向に咲く』（幻冬舎文庫）</title>
         <description><![CDATA[<img alt="books080828.jpg" src="http://books.lylyco.com/img/books080828.jpg" width="120" height="180" />劇団ひとり<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344411684?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4344411684">『陰日向に咲く』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4344411684" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

いくら<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/search?ie=UTF8&keywords=%E6%81%A9%E7%94%B0%E9%99%B8&tag=bookslylycoco-22&index=books&linkCode=ur2&camp=247&creative=1211">恩田陸</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&amp;l=ur2&amp;o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />の推薦文がついていても単行本を買う勇気はなかった。でも、気にはなっていたので文庫化を機に購入。買って良かったと思う。実は、ぼくは劇団ひとりの芸をよく知らない。まともにネタを見たことがない。ただ、色々な「人」を演じているらしいということだけは知っていたし、断片的には見たこともある。結構前のことだけれど、これはテレビ向きじゃないな、と思った記憶がある。そして、あれはきっと「人」に興味がなければできない芸だろうとも思った。そんな「人」への視線が芸ではなく小説になった。そういうことなんだろうと思う。つまり、これは彼の本領である。

繋がる連作短編の見本のような作品だ。もっと情に訴えることに主眼を置いた作品を想像していたから、これは嬉しい誤算だった。劇団ひとりという人は、もしかするとミステリ好きなのかもしれない。親しみやすい文体に油断していると、アっと驚くことになる。とにかく構成が練られていて、それぞれの短編にちゃんとサプライズがある。この種の遊び心に溢れた作品は、そう沢山は書けないだろうと思う。作風が似ているわけではないけれど、大槻ケンヂの<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4041847052?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041847052">『くるぐる使い』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4041847052" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ時もそんなことを思った。本書にオーケンほどの毒はない。けれども、哀しみと可笑しみは詰まっている。

もういい尽されたセリフだろうけれど、あえて書いておく。これは著者自身の人気に頼った「タレント本」のレベルじゃない。だからこそ、あまり文体に特徴がなくてさらっと読み流せてしまうのは、少しもったいない気がする。キャラクターやエピソードはそれなりに印象的なんだけれども、言葉としてはあまり心に残らない。ただ、この辺りは文体のとっつきやすさとトレードオフな面もあるんだろうから、一概に欠点とはいえないのかもしれない。ともあれ、この上文章に味が出てくるとずっと面白みが増すように思う。まあ、その辺りは（もしもあるなら）次作以降に期待したいところ。

ここまで書けるのだから、是非、作家活動も続けて欲しいと思う。]]></description>
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         <category>文芸（国内）</category>
         <pubDate>Thu, 28 Aug 2008 17:40:57 +0900</pubDate>
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         <title>道尾秀介『向日葵の咲かない夏』（新潮文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101355517?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4101355517"><img alt="道尾秀介『向日葵の咲かない夏』（新潮文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books080827.jpg" width="120" height="173" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4101355517" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />道尾秀介<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101355517?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4101355517">『向日葵の咲かない夏 』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4101355517" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />（新潮文庫）を読んだ。

なんとう綱渡り。思い付いてもこれは普通書けない。書いてもうまくいくと思えない。実際、最初の辺りは、なんて下手糞なんだとイライラしながら読んでいた。まんまと騙された。物語世界に横溢する違和感が理解できないせいで、それを著者の実力の故と誤解する。人物描写の感覚的齟齬にデビュー2作目だからと新人故の稚拙を見る。違う。下手なのではない。それはギリギリの綱渡りの結果である。その違和感こそが物語の核なのである。しかも、極めてフェアにその世界観は最初から提示されている。ここまで高度に論理的に決着するとは最後の最後まで思えなかった。凄い。

ミステリとしてはとても面白いと思う。ただ、扱われる題材には好悪が分かれるだろう。はっきりいえば、あまり気持ちの好い話ではない。かなり陰鬱とした話である。しかも、その陰鬱とした世界を見せているのが子供なのである。同級生の自殺体発見から始り、どこまでもダークな幻想に沈んでいく。タイトルだけ見れば、なにかセンチメンタルな雰囲気すらある。そういうものだと思って手に取ると、感性を抉られるかもしれない。救いのない世界に唖然とするかもしれない。たぶん、この作品は酷く人を選ぶ。ミステリ的な後味は最高だけれど、物語の後味は恐ろしく悪い。

それでも、語られる主題はただ悪趣味なわけではない。ありふれたいい方をするなら、それは「時代の閉塞感」を切り取って見せている。救いのない閉塞感を前に、ぼくたちは自衛を余儀なくされる。無力な人間にドラスティックに現実を変える力はない。自衛の方法は限られている。そうやって追い詰められたどん詰まりの自我が向かう先のひとつが、この物語の描く世界なのかもしれない。そう考えることには一定のリアリティがある。だから、怖い。これはそういう意味で、幻想ミステリとはいい切れない。今時の屈折した社会派ミステリといった方が、むしろ、しっくりくる。

ミステリファンならずとも、一読の価値があると思う。]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/08/post_168.html</link>
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         <category>ミステリ（国内）</category>
         <pubDate>Wed, 27 Aug 2008 20:40:10 +0900</pubDate>
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         <title>浦賀和宏『地球人類最後の事件』（講談社ノベルス）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061825933?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061825933"><img alt="浦賀和宏『地球人類最後の事件』（講談社ノベルス）" src="http://books.lylyco.com/img/books080804.jpg" width="120" height="198" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061825933" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />浦賀和宏<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061825933?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061825933">『地球人類最後の事件』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061825933" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

やってくれる。ここまでやるのが浦賀和宏という作家なんだといわざるを得ない。テクニックがどうとかいう話ではない。こういう主人公を書こうと、普通は思わない。まあ、作家が普通でどうする、という話はある。それにしても、だ。このおぞましい感覚は、非日常的なグロテスクのせいではない。恐らくは、心の奥底のリアルを引きずり出される嫌悪のせいだ。もうそれ以上暴かないでくれ、と目を背けたくなる現実的なグロテスクのせいだ。主人公八木剛士の変貌は一切幸福に結びつかない。イジメっ子に復讐を果たし、童貞も捨てた。強くなった。少なくとも外面的には。

シリーズ最終巻を次作に控え、八木は最狂最悪の墓穴を掘る。本作のラストは、ほとんど考え得る限り最低のエピソードで締め括られる。八木剛士というキモメンでキモオタで非モテで非コミュなイジメられっ子の、屈折に屈折を重ねた思考が八木をして破滅的な愚行に走らせる。凶行に走らせる。それはほとんどデジャヴのように感じられる。いくつかの現実の事件を想起させる。もちろん、秋葉原の加藤某に八木の思考を重ねるような短絡は危険且つナンセンスだろう。恐ろしいのは、そうできるくらいにこの作品に描かれる生き地獄がリアリティを持っているという事実だ。

リアリティだけではない。シンパシーすら感じる人が少なくないのではないか。破滅に向かう不健全な精神に共感する。そういう愉しみ方をする人が一定数いるんじゃないか。八木のような主人公は、本来、不快な存在のはずだ。暴力によってイジメられっ子から卒業するまではいい。否、好くはないかもしれないけれど、そういうエンターテイメントは過去にも無数にあった。たいていはそれで溜飲を下げてハッピーエンドとなる。けれども、浦賀和宏はそんな温い話は書かない。暴力によって得た自由は、より八木を孤独にする。更なる悲劇を産めとばかりに八木を追い詰める。

このグロテスクな顛末が最終巻にどう繋がるのか。願わくば彼の上に光の射さんことを。


【Amazonリンク（松浦純菜シリーズ既刊）】
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061824139?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061824139">浦賀和宏『松浦純菜の静かな世界』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061824139" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061824376?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061824376">浦賀和宏『火事と密室と、雨男のものがたり』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061824376" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061824759?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061824759">浦賀和宏『上手なミステリの書き方教えます』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061824759" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061824953?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061824953">浦賀和宏『八木剛士 史上最大の事件』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061824953" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061825046?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061825046">浦賀和宏『さよなら純菜 そして、不死の怪物』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061825046" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061825224?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061825224">浦賀和宏『世界でいちばん醜い子供』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061825224" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061825607?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061825607">浦賀和宏『堕ちた天使と金色の悪魔』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061825607" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061825933?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061825933">浦賀和宏『地球人類最後の事件』（講談社ノベルス）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061825933" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/08/post_167.html</link>
         <guid>http://books.lylyco.com/2008/08/post_167.html</guid>
         <category>ミステリ（国内）</category>
         <pubDate>Mon, 04 Aug 2008 19:55:35 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』（ちくま文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480424040?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480424040"><img alt="books080722.jpg" src="http://books.lylyco.com/img/books080722.jpg" width="120" height="175" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4480424040" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />北村薫・宮部みゆき編<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480424040?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480424040">『名短篇、ここにあり』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4480424040" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

新刊書店で適当に選んで本を買う。まあ、ネットで読んだ書評やなんかで買うこともあるけれど、割合としてはごく小さい。そんなぼくにとって、こういうアンソロジーは結構ありがたい。こういうというのがどういうのかといえば、「新刊書店じゃ間違っても平台に載りそうにない作品が読める」といったところだろうか。新刊書店の宿命として旧作に類する本は非情なまでに淘汰されやすい。過去の作品が読めるのは、もう本当に著名な一部の作家に限られる。だから流行の本に席巻されがちな平台に、復刊された古今の名作が載っているのを見付けると嬉しい気持ちになる。

このアンソロジーの「意外な作家の意外な作品」という視点がまた良い。のっけから半村良の「となりの宇宙人」なんてちょっと間の抜けた短篇が入っている。半村良といえば伝奇ＳＦのイメージが強い。ところが、この収録作品は笑えるオチまでついたコメディタッチの人情話になっている。もちろん半村良には伝奇ＳＦだけでなく、心に沁みる人情話の傑作もあるのだけれど、こんな風に肩の力の抜けたアイデアストーリーは珍しいように思う。松本清張の「誤訳」なんかも、事実の裏に隠された真実…というような構造自体は「らしい」のだけれど、とても新鮮に読めた一篇。

乙一の<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087471985?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087471985">「夏と花火と私の死体」</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4087471985" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />なんかが好きな人は、吉村昭「少女架刑」の容赦ない死体視点と比較してみるのも面白い。金目当てに献体され切り刻まれ骨になるまでの様子が淡々と、けれども酷くセンシティブに描かれる。その想像力と筆力はちょっとやそっとのものではない。ラスト、ページ越しに聞こえてくる音がいつまでも耳に残る佳作だ。また、秀逸すぎるイマジネーションにやられるのは、黒井千次「冷たい仕事」と山口瞳「穴－考える人たち」の２篇。霜に憑かれたサラリーマンとか、穴掘りと奇妙な会話の応酬とか、境界のあやふやな非現実に頭がクラクラする。

城山三郎「隠し芸の男｣なんかは、サラリーマンの悲哀を超えて恐ろしささえ感じる。いわば、旧式サラリーマンのリアルホラーともいうべき恐怖小説。読後感のいい話ではないけれど、じわじわとくる。井上靖「考える人」も凄い。即身仏となったコウカイ上人の木乃伊を追う４人が、道々コウカイ上人が木乃伊になるまでの人生を語りだす。４人の語りは完全に彼らの主観の産物だ。にも関わらず、件の上人の人物史が妙な説得力を持って立ち上がってくるという怪作。他、取り上げなかった作品については個人的に突出したものは感じなかった。とはいえ、アベレージは高い。

総じて、読んで損のないアンソロジーだと思う。


【収録作品】
・半村良「となりの宇宙人」
・黒井千次「冷たい仕事」
・小松左京「むかしばなし」
・城山三郎「隠し芸の男」
・吉村昭「少女架刑」
・吉行淳之介「あしたの夕刊」
・山口瞳「穴ー考える人たち」
・多岐川恭「網」
・戸板康二「少年探偵」
・松本清張「誤訳」
・井上靖「考える人」
・円地文子「鬼」

【amazonリンク】
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480424040?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480424040">北村薫・宮部みゆき編『名短篇、ここにあり』（ちくま文庫）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4480424040" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480424059?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480424059">北村薫・宮部みゆき編『名短篇、さらにあり』（ちくま文庫）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4480424059" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087471985?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087471985">乙一『夏と花火と私の死体』 (集英社文庫)</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4087471985" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/07/post_166.html</link>
         <guid>http://books.lylyco.com/2008/07/post_166.html</guid>
         <category>アンソロジー（国内）</category>
         <pubDate>Tue, 22 Jul 2008 18:05:38 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>ランディ・パウシュ『最後の授業 ぼくの命があるうちに』（ランダムハウス講談社）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4270003502?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4270003502"><img alt="ランディ・パウシュ『最後の授業 ぼくの命があるうちに』（ランダムハウス講談社）" src="http://books.lylyco.com/img/books080710.jpg" width="120" height="170" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4270003502" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />ランディ・パウシュ<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4270003502?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4270003502">『最後の授業 ぼくの命があるうちに』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4270003502" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

内容自体は、実際に行われた講義の増補版といったところだ。<a href="http://jp.youtube.com/watch?v=nrFMRuB2lbA">講義の様子はYouTubでも見られる</a>。最初に断っておくと、特に目新しい何かが書かれているわけではない。極一般的な「良いこと」がたくさん書かれている。そして、末期ガン患者による、という但し書きにもさしたるインパクトはない。よくある惹句にすぎない。それでもこの本が、或いは、講義の動画がこれだけ巷間に流布しているのは、著者のウィットに富んだキャラクターとプレゼンテーションの上手さによるところが大きいように思う。要するに、話が上手い。構成もいい。本当にオチまでよく考えられている。

あの秀逸なオチについては、まあ、実際に読んでもらうしかない。そして、そのオチによって「自己啓発本」としての凡庸さが瑕ではなくなる瞬間を体感して欲しい。否、凡庸だから役に立たないといっているのではない。そもそも人生を上手く生き抜く知恵みたいなものは、すでに散々っぱら出尽くしていて、凡庸でない人生訓を出せという方が無理である。つまり、大事なのは目新しさなんかではなく、見せ方なのである。そして、このランディ・パウシュという人は、その点とても自覚的だ。病気の話はしない。けれども、最高の演出を支えるのはやっぱり命の短さなのである。

演出というのは、何かを印象付けるためにするものだ。本書の場合は、著者のいう「頭のフェイント」によって演出はなされる。そして、ここに仕掛けられた第2のフェイントによって、彼の言葉はとても効果的に印象付けられる。同時に「分かり切ったことばっかいいやがって」とか「それができりゃ苦労はねぇ」とか「なんて上目線」とかいうようなネガティブなコメントをも封印する。鮮やかとしかいいようがない。最後の最後で、これまでの話を一旦は素直に受け止めようという気持ちにさせる。説得せずに人の意識を変えて見せる。まさに希代のプレゼンテーターである。

これは単なる成功本でも、お涙頂戴の末期ガン本でもない。いわば公開された遺書である。


【amazonリンク】
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4270003502?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4270003502">ランディ・パウシュ『最後の授業 ぼくの命があるうちに [ DVD付き ]』（ランダムハウス講談社）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4270003502" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4270003499?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4270003499">ランディ・パウシュ『最後の授業 ぼくの命があるうちに』（ランダムハウス講談社）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4270003499" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />


【アルファブロガーによる同書の書評】
・<a href='http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51067424.html' title='404 Blog Not Found:「最初の講義」 - 書評 - 最後の授業'>404 Blog Not Found:「最初の講義」 - 書評 - 最後の授業</a>
・<a href='http://www.ideaxidea.com/archives/2008/07/post_571.html' title='【書評】 最後の授業 ぼくの命があるうちに | IDEA*IDEA'>【書評】 最後の授業 ぼくの命があるうちに | IDEA*IDEA</a>]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/07/post_165.html</link>
         <guid>http://books.lylyco.com/2008/07/post_165.html</guid>
         <category>エッセイ（海外）</category>
         <pubDate>Thu, 10 Jul 2008 18:37:08 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>瀬川幸一編『石油がわかれば世界が読める』（朝日新書）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4022732075?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4022732075"><img alt="瀬川幸一『石油がわかれば世界が読める』（朝日新書）" src="http://books.lylyco.com/img/books080707.jpg" width="120" height="190" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4022732075" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />瀬川幸一編<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4022732075?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4022732075">『石油がわかれば世界が読める』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4022732075" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

まず、押さえておくべきは本書成立の背景だろう。<a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpi/">「社団法人石油学会」</a>の創立50周年記念出版というのがそれだ。執筆陣の所属はそれぞれ<a href="http://www.jogmec.go.jp/">「独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構」</a>「和光大学」「新日本石油株式会社」「旭化成ケミカルズ株式会社」となっている。かなり現場寄りの人選ではないかと思う。ただし<a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpi/">「社団法人石油学会」</a>も<a href="http://www.jogmec.go.jp/">「独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構」</a>も経済産業省がらみの団体で、且つ、新日本石油関係の人間が大きく関わっている点は頭の片隅に置いておいた方がいいかもしれない。中立の視点を持つためにも。

以上を踏まえてさえいれば、本書は石油に関する良書だといえると思う。特に、石油関連の話題に疎いぼくのような読者にはとても参考になるし面白い。書かれ方も比較的平易で読みやすい。「石油を上手に大切に使う」と題された第2章は若干細部に踏み込みすぎのきらいはあるものの、ややこしいところを適当にうっっちゃって読んでも差し支えない程度にはまとまっている。個人的には、石油を巡る歴史を概観できる第3章「石油文明は終わらない」が一番面白かった。原油生産から販売までの流れや、古今の石油を巡るお金の流れなんかが簡潔に説明されている。

けれども、やっぱり一般に旬な話題は第1章ということになるんだろう。いわゆる環境問題と石油価格暴騰に関する話である。前半では、石油が環境に対してプラスに働いている事例や代替燃料の問題点、石油枯渇論に対する見解なんかが示される。ただし、この辺りの話は石油を生活の糧にしている側の見解である点を忘れていはいけないと思う。一方で、石油に対してマイナスイメージばかりを育ててきた人にはフラットな視点を持ついい機会になるだろう。特に代替燃料の有用性については、今後も様々な情報に触れてその真贋を見極めていく必要があると思う。

章後半は価格に纏わる話題になる。石油の生産から精製、販売まで、どこでどんな力学が働いて価格を左右するのかがとても分かりやすく書かれている。生産コストの油田間格差によるボロ儲けシステムや、ガソリン価格の内訳など、漠然と予想していたとはいえ石油利権の実態はなかなかに衝撃的だ。また原油産出量や実際の消費量をはるかに上回るペーパーオイル取引の現状など、その狂騒的な数字を見るだけで薄ら寒い気持ちになる。こんな無謀なチキンレースにまともな結着がつくとはとても思えない。オイルマネーの爆発炎上は避けられないんじゃないかと思う。

まあ、世界が読めるかどうかは別として、少しでも石油が気になるなら読んで損はない内容だ。]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/07/post_164.html</link>
         <guid>http://books.lylyco.com/2008/07/post_164.html</guid>
         <category>学問（国内）</category>
         <pubDate>Tue, 08 Jul 2008 00:26:16 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>恩田陸『蒲公英草紙 常野物語』（集英社文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087462943?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087462943"><img alt="恩田陸『蒲公英草紙 常野物語』（集英社文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books080630.jpg" width="120" height="176" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4087462943" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />恩田陸<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087462943?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087462943">『蒲公英草紙 常野物語』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4087462943" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

連作短篇集<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087472426?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087472426">『光の帝国 常野物語』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4087472426" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />に連なる物語だ。決して想像を超えない物語。それは、この著者においては欠点にならない。そこにある既視感が行間にイマジネーションを呼ぶ。そういう書かれ方をしている。テーマは少し重い。著者の筆力は一見物語を軽やかに見せる。けれども、常野の一族に与えられたキャラクターは、人間の営みに深くコミットすることを運命付ける。前作の短篇に比べると、少し語りすぎる嫌いはあるかもしれない。そもそも、周辺を語るために前作があったのかとも思える。その点『三月は深き紅の淵を』に連なる諸作を髣髴とさせる。

これはある種の超能力を扱った物語ではあるけれど、能力そのものが描かれることはほとんどない。春田一家という「しまう」力を持った人々が登場しはする。けれども、冒頭から明らかなようにキーパーソンは聡子という深層の令嬢である。春田一家は「物語」そのものの役を果たす。そして、問われるのは自分という物語に対する覚悟だ。それを鮮やかに描き出すために、特殊な能力が生きてくる。つまり、春田一家は聡子の物語を明らかにするためにこそ配されたキャラクターなのである。ありふれた自己犠牲の物語を大きな物語に回収してみせる手際は鮮やかだ。

エピソードの集積として語られた前作は、いわば「予告編の面白さ」を存分に持っていた。そして、本編のひとつとして今作がある。前作を豊饒なるイマジネーションの源泉として愉しんだ向きには、もしかすると今作はかえって物足りないかもしれない。逆に、前作で食い足りない思いをした人にはこれこそ期待した物語だろう。贅沢な短篇集から紡ぎ出された丁寧な長編。たまには手練のストーリーテラーの掌で寛いでみるのも悪くはない。著者の引き出しを覗き込んで愉しむもよし、そこから抜け出して自ら想像の翼を広げるもよし。ウェルメイドな作品だ。

3作目<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087747913?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087747913">『エンド・ゲーム 常野物語』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4087747913" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />の文庫化を待つ。]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/06/post_163.html</link>
         <guid>http://books.lylyco.com/2008/06/post_163.html</guid>
         <category>ファンタジー（国内）</category>
         <pubDate>Mon, 30 Jun 2008 21:23:10 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>恒川光太郎『夜市』（角川ホラー文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4048736515?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4048736515"><img alt="恒川光太郎『夜市』（角川ホラー文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books080626.jpg" width="120" height="169" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4048736515" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />恒川光太郎<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4048736515?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4048736515">『夜市』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4048736515" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

なんて魅力的な導入だろう。行儀悪くも最初の一ページを立ち読みした。もう棚に戻すことはできなかった。この一ページだけのために買っても後悔はしない。大袈裟だけれど、それくらいにグっときた。こんなことはそうない。もちろん、魅力的なのは冒頭だけではない。むしろ、読めば読むほど引き込まれていく。淡々とした筆運びがじわじわと効いてくる。過剰な演出も衒いもない。けれども、言葉は慎重に選ばれている。リズムがあり、流れがある。スルスルと脳に流れ込んでくる。否応なく異世界へと引きずり込まれてしまう。いつの間にか絡め捕られている。

表題作「夜市」は第12回日本ホラー小説大賞を獲っている。その手の本には興味がない、そう思った人がいるかもしれない。けれども、これをホラーだからと敬遠するのは、あまりにもったいない。優れた文芸作品にジャンルを問うのは野暮というものだろう。本当の小説の面白さはどんなジャンルにカテゴライズされようとも、軽々とジャンルを超えるものだ。確かに、収められた2篇の作品は怖い。けれどもそれは、これらの小説があまりに巧みに人の心を描いて見せるからだ。自分の心の奥底を覗き込む羽目になるからだ。本当に人を描くことは怖いことなのである。

「夜市」の怖さは弟を売った兄の善良さによって加速する。それはいかにもありふれた善良さであり、彼の罪と罪の終わりはとても他人事で済まされない。そして、その怖さは哀しみに通じてもいる。この「夜市」と併録の「風の古道」は似たような構造を持っている。語り手が異界を再訪する物語であり、異界の住人たることを運命付けられた謎の人物の来歴が語られる点もよく似ている。そして、善良な無力さや選択することの取り返しのつかなさが、どうにも繕いようのない姿で投げ出されてくる。穏やかに、静かに、心を抉られる。これは怖い。そして、哀しい。

著者のスタイルはすでに確立している。ほとんどストイックなまでに削ぎ落とされた表現。一見、そっけないとさえ思える文体。けれども、的確に選ばれた言葉の力に支えられ、物語は豊穣さを失わない。ひとことで言うなら、洗練されている。そして徐々に闇の底に光を当てていくような巧みな構成にまんまとしてやられる。デビュー作にしてこの完成度。もう驚くしかない。ハイレベルだといわれる日本ホラー小説大賞史上にあっても、ここまでの収穫はなかなかないんじゃないかと思う。今時、短篇をここまで読ませる作家というのは、ジャンルを問わず稀少だと思う。

果たして長篇の手腕はいかばかりか。いずれ<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4048737414?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4048737414">『雷の季節の終わりに』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4048737414" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />で確かめてみたい。]]></description>
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         <category>ホラー（国内）</category>
         <pubDate>Thu, 26 Jun 2008 11:17:44 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>米澤穂信『クドリャフカの順番』（角川文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4044271038?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4044271038"><img alt="米澤穂信『クドリャフカの順番』（角川文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books080612.jpg" width="120" height="172" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4044271038" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />米澤穂信<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4044271038?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4044271038">『クドリャフカの順番』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4044271038" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

何よりもキャラクターがこなれてきたように思う。ほろ苦い青春モノとしてはシリーズ第1作<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4044271011?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4044271011">『氷菓』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4044271011" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />に軍配が上がる。推理小説としては第2作<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/404427102X?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=404427102X">『愚者のエンドロール』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=404427102X" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />だろう。それでも、読んでいて一番楽しかったのは、この3作目かもしれない。個人的な嗜好が大きく影響している可能性はある。何を隠そう、ぼくは学園モノ好きだ。男臭い学生生活しか知らないぼくにとって、学園モノの世界は永遠の憧れなのである。そして、学園祭をテーマにしたこの物語は、最高の学園モノとしてぼくの記憶にしっかりと刻み込まれた。嗚呼、何と羨ましい学生生活であろうか！

ひとつだけ問題があるとすれば、これ単体で読むと解らないことが意外に多い点だろう。前2作を読んでいないと、何やら食い足りない気持ちになるに違いない。もちろん、ミステリ的な要素をメインに考えるなら、これはこれでキッチリ完結している。ただ、彼らの内面に与えた過去の物語は、この物語の時間軸でも重要な意味を持ち続けている。キャラクター小説的な愉しみがひとつの特徴である以上、キャラクター形成の過程を飛ばすのは大きく愉しみを殺ぐことになる。純粋にミステリだけを愉しむという手はあるけれど、それだけで本作を評価することは難しい。

前2作と打って変わって、レギュラーキャラクター4人による多視点の1人称で物語は進む。これが学園祭という祝祭の雰囲気を描くのにとても貢献している。従来通り奉太郎の1人称だけで進んでいたら、この雰囲気はちょっと出せなかったろうと思う。また、これまで光の当たることのなかった主要キャラクターたちの内面が、実に活き活きと描かれている。これも学園モノとして非常にポイントが高い。実をいうと1作目を読んだときは、彼らのあり様が軽度のオタク的コミュニケーション不全を気取っているようでどうにも好きになれなかった。そんな印象はもうない。

もちろん、ミステリとしても十分に面白い。解決篇は少し物足りない部分もあったけれど、その過程は祝祭的喧騒ともマッチして毒のない爽やかなミステリになっている。それに解決が弱いとはいうものの、明かされる動機のステキさがそれを補って余りある。これまた青春の甘酸っぱい味が溢れていて、実に好ましい。見事なまでに柑橘系である。犯人の屈折の仕方が好すぎて困る。彼の繰り出す余りに迂遠なコミュニケーションに、ちょっとクラクラきてしまった。どう考えてもリアルではないのだけれど、青春の心象としてはとてもリアルだといわざるを得ない。

これはもう、学園モノ好きにはこたえられない1冊だ。


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・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4044271011?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4044271011">米澤穂信『氷菓』（角川文庫）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4044271011" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/404427102X?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=404427102X">米澤穂信『愚者のエンドロール』（角川文庫）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=404427102X" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
・<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4044271038?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4044271038">米澤穂信『クドリャフカの順番』（角川文庫）</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4044271038" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/06/post_161.html</link>
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         <category>ミステリ（国内）</category>
         <pubDate>Thu, 12 Jun 2008 18:48:46 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』（新潮文庫）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101345511?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4101345511"><img alt="佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』（新潮文庫）" src="http://books.lylyco.com/img/books080604.jpg" width="120" height="173" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4101345511" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />佐藤友哉<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101345511?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4101345511">『子供たち怒る怒る怒る』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4101345511" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

純文学にいくのか。そう思った。舞城王太郎のときも思った。純文学もエンターテイメントであることに変わりはない。だから、エンターテイメントの賞から出た彼らが純文学のフィールドで活躍することに不思議はない。むしろ、このふたりの場合は自然だったとも思える。それは、彼らがストーリーやプロットで読ませるタイプの作家ではないと思うからだ。佐藤友哉のいわゆる鏡家サーガは当初ミステリの仮面を被って登場した。けれども、3作目<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062760223?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4062760223">『水没ピアノ』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4062760223" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />の頃にはもうその辺りの建前はほとんど放棄されていたと思う。そして、3作で一番面白かった。

その後、この若い著者はネタとしても酷く稚拙な「自分語り（と思われるもの）」を書いてボロボロになる。いや、実際になったのかどうかは知らないけれど、あの<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061822691?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061822691">『クリスマス・テロル』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4061822691" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を評価する人をあまり見た記憶がない。その文学嗜好を好意的に受け止める人はいても、それは作品自体の評価とはいえないだろう。あれは純文学へフィールドを写すための脱ミステリ宣言であり、同時にプレゼンテーションでもあったのかもしれない。そして、佐藤友哉はキャッチーなキャラクターやエピソードや緻密なプロットといったエンターテイメントの頚木から逃れた。

だから、その後の短編を集めたこの本は、ただただ絶望的な不可能性を書くためだけに紙幅が費やされる。相変わらず、わざとやっているのかどうか分からない不器用な手つきで、話としてはとても表層的で新味のない物語を綴っている。ひと昔前ならセンセーショナルだったかもしれない題材をこれでもかと投入しているのも、別にそれで人目を惹こうとしているわけではないだろう。むしろ、それがどうしたんだよという態度で、意味や理由みたいなものとは無縁であることだけが強調される。そこにある悲喜劇に因果なんかはないのである。つまり無意味である。

無意味であることやあらゆる物事の不可能性を語る。それはほとんど絶望的な闘いに思える。あんなこともこんなこともみんな無意味だとか、あんなこともこんなことも本当には為し得ないんだとか、そんな説明をするならそもそも文学なんて表現形式を選ぶ必要はない。だからぼくは、佐藤友哉が作中でテーマを直接に語っているように見える場面があっても、そんなものは実は見せかけのテーマでしかないんだと思っている。そして、彼の作品そのものが絶望的な不可能性を体現しているのではないかとも思っている。ただ、今はまだその表現が半端なだけで。

佐藤友哉にはもっと恰好の悪い純文学を書いて欲しいと思う。]]></description>
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         <category>文芸（国内）</category>
         <pubDate>Thu, 05 Jun 2008 20:02:50 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>水野敬也『夢をかなえるゾウ』（飛鳥新社）</title>
         <description><![CDATA[<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4870318059?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4870318059"><img alt="水野敬也『夢をかなえるゾウ』（飛鳥新社）" src="http://books.lylyco.com/img/books080602.jpg" width="120" height="170" /></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4870318059" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />水野敬也<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4870318059?ie=UTF8&tag=bookslylycoco-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4870318059">『夢をかなえるゾウ』</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookslylycoco-22&l=as2&o=9&a=4870318059" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />を読んだ。

売れているだけのことはありすぎる。これはとてもオイシイ本だ。知のマッシュアップ、或いは、成功本のベストコンピレーションとでもいえばいいだろうか。著者は他人の褌で相撲を取るために自ら土俵を作ってしまった。おそらく、書かれている成功法もそれを伝えるための方法論も、過去のHowto本のどこかには載っていて、伝聞まで含めれば覚えのある言葉ばかりが並んでいる。それでもこの本はオリジナルで、どの成功本にも書かれていない何かが書かれている。いや、それすらもどこかでは書かれているかもしれない。だとしても、そんなことはまるで問題ではない。

この本を読んで痛感した。必ずしも「何を伝えるか」がオリジナルである必要はない。ただ、「どう伝えるか」にはオリジナリティが必要だ。それこそが肝だ。だから、あらゆる文章は要約なんてできない。要約して出てくるのは「何を伝えるか」の部分だけだからだ。理解することと伝わることは似ているようで違う。誰かがいったとしよう、「要約すると、人を殺すことはよくない、ってことなんだ」…と。これだけでは何も伝わらない。いや、伝えることはとても難しい。この本はいかに伝えるかにほとんどすべてを賭けている。そして、ある程度それに成功してもいる。

成功本や自己啓発本に類する内容でありながら、この本は必ずしも成功や成長をゴールとしない。何故なら、成功みたいなものは本書の本当の核である「大切な何か」の結果でしかないからだ。いい替えれば、その「大切な何か」さえ手に入るなら結果が成功である必要は特にないのである。だから、ぼくはこの本は本として成功してはいるけれど、実は成功本としての実効性は薄いだろうと思っている。これを読んだ人の多くは「いい話」としてこの本を消化してしまうんじゃないかと思うからだ。そう、この本はとても「いい話」なのである。涙腺の弱い人なら泣けるくらいに。

まとめるならこうだ。古今の金言で一杯のいい話。成功の秘訣が分かったような気になれて、笑えて、泣ける。著者の狙いもそうした表現手法の方にあったんだろう。ちなみに、「大切な何か」をあえてここに書かないのは、書けば陳腐だと思われるだろうからだ。その点でも、この本に書かれていることはありふれている。否、普遍性が高いといった方が適切だろう。普遍性の高い内容をオリジナルな言葉で分かりやすく書く。これはできそうでなかなかできない。陳腐だと思われては仕方がないし、捏ね回しすぎて晦渋になったのでは一般ウケしない。ほど良い平衡感覚が要る。

そして、これは成功できなくても無駄にならない稀有な成功本なのである。]]></description>
         <link>http://books.lylyco.com/2008/06/post_159.html</link>
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         <category>ビジネス（国内）</category>
         <pubDate>Mon, 02 Jun 2008 18:16:09 +0900</pubDate>
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