藤巻健史『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 』(光文社新書)

藤巻健史『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 』(光文社新書)藤巻健史『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 』を読んだ。

プロが率直に語る。それだけでも凄い。読む価値がある。ぼくにとっては、今年の裏目標「マネーについて知る」ための読書、第2弾である。ちなみに、ぼくの金融知識はおそらく平均的「ビジネスパーソン」のそれを遥かに下回っているだろうと思われる。最初の数ページを立ち読みし、社会人1、2年生を対象とした講義の書籍化だというので買ってみた。そして、金融に関してぼくは社会人1、2年生よりもずっと低レベルだと分かった。色々と腑に落ちるところはあるものの、理解できない部分も多かった。面白かったけれど難しくもあったというのが正直な感想だ。

大事な部分の説明はくどいほどに丁寧で分かりやすい。一方で、常識のレベルがぼくのような完全無欠の門外漢とはまるで違っている。藤巻健史という人はあまりにプロ過ぎる。テクニカルタームの多くは説明されるのだけれど、説明の中にもテクニカルタームが出てくる。こうなるともうGoogleに頼りながら読むしかないのだけれど、ぼくの主たる読書スペースは電車の中である。仕方がないから、なんとなくで読み飛ばす。そうすると、ごっそりと分からないところが出てくる。無知の連鎖にやられる。これはもうどうしようもない。とにかく先に進むしかない。

この本で扱われるのは、何度も書くけれど、プロの仕事である。小遣い稼ぎの個人投資家風情の役に立つノウハウなどはまったく書かれていない。つまり、ほとんどが莫大な金銭的バックボーンを前提としたトレーディングの話である。具体的には、先物やオプションといった元本移動を伴わない取引が話題の中心となる。とても泡沫サラリーマン投資家に真似できるようなシロモノではない。だから、ノウハウ本ではないと最初に書かれている。これはつまり、金融マーケットを動かす人たちの思考を知り、金融マーケットのありようを知るための本なのである。

経済ニュースや金融情報を正しく読み取り、マーケットを分析し、仕事や資産運用に活かす。たぶん本書を理解するということは、それがある程度できるようになるということなんだろう。その意味で、ぼくの理解度は限りなく低い。為替や金利の基本的な考え方や、先物、金利スワップ、オプションなんかの仕組みはある程度分かった。景気やそれに関わる長期金利なんかは予想のしようがないということも分かった。ついでに著者はチャート嫌いということも分かった。が、マーケットは見えてこない。そして、一般人がマーケットで儲ける方法も分からなかった。

ぼくに必要なのは、さらに基礎的な門前の書である。そして、本書は自分の金融知識が基本レベル達したかどうかを測る試金石として、折りに触れて読み返すべき本なんだろうと思う。読み通すこと自体は苦にならない。講義口調がぼくには若干読みにくかったのだけれど、砕けた語りは十分にとっつきやすい。著者のいう「雑談」部分が意外に面白くて雑学的な読み物としても悪くない。日銀や政府と金融マーケットの関わりや、勤めていた銀行にまつわるこぼれ話、簿価会計と時価会計の話などなど、話のネタになりそうな話題がコロコロと転がっている。

いずれ、新しい世界を知るには新しい言葉を知らねばならない。まずはそこからだ。

related entry - 関連エントリー

trackback - トラックバック

trackback URL > http://lylyco.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/284

comment - コメント

コメントを投稿

エントリー検索