ジョルジュ・バタイユ『眼球譚(初稿)』(河出文庫)
ジョルジュ・バタイユ『眼球譚(初稿)』を読んだ。
ぼくは学生時分、割りと澁澤龍彦やなんかを好んで読んだりもしたので、この手の話には比較的耐性がある。なので、かなり楽しめた。なんとなく知っていながら今まで読まずにきたのだけれど、ほぼ想像していた通りの感触だった。
ちなみに『眼球譚(初稿)』はポルノグラフィーだ。
ただし、余りオカズにはならない。抑圧と開放だとかエロスとタナトスだとか、そういう理屈っぽさが全編を支配している。バタイユは思想や哲学の人でもあって、哲学なんて理屈の権化みたいなものだから、これは当然のことかもしれない。何事もグチグチと突き詰めるのが本分だろう。お陰で、性表現としては少々アブノーマルでもある。
一例、のっけから少年少女が小便をかけあったりしている。
このあたりで思い切りひくような人は読まない方がいいかもしれない。主人公たちを駆り立てる衝動は止まるところを知らない。ただし、物語が進むほど、エロ小説とはかけはなれたものになっていく。
そして、この作品には問題の第二部や序文がついている。
これが甚だ理屈っぽい。結局衝動より理屈が勝っている。バタイユの屈折具合が分かろうというものだ。こういう曲がり方は嫌いじゃない。
なだんか久々に丸尾末広が読みたくなった。
posted in 05.03.28 Mon
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